初心者にサーフェイサーは不要?「メリットとデメリットを考える」

初心・初級者
スポンサーリンク

こんにちは、おらプラです。

初心者のみなさん、サーフェイサーは使ってますか?

サーフェイサー(よく略してサフと言う)塗装をする前にプラモ全体にスプレーするもので、きっと見たことはあると思います。動画などで「グレー1色で塗装したかのような、なんかすごくカッコいいやつ」見たことありません?

もちろんあれはカッコいいからやってるわけじゃありません。

ちゃんと理由があってやっているのですが、その効果や使い方を知らず、

「塗装前にはサフを吹く」

と思い込んで、惰性でなんとなくスプレーしている人も多いのではないでしょうか?

サーフェイサーはちゃんと意味を理解して使わないと、無駄どころか、かえって完成度を下げているかもしれません。

あなたはどういう理由でサーフェイサーを吹いて(吹きたいと思って)いますか?

スポンサーリンク

サーフェイサーとは?

私がよく使うサーフェイサー

サーフェイサーとは、プラモデルの塗装前にスプレーするもので、薄くしたパテのようなものです。

モデラーの間では通称「サフ」とか「サフを吹く」などと呼ばれています。

初心者がよく目にするだろう上級者の製作記・製作動画では、サーフェイサーを使いこなしている素晴らしい作品が見られます。

それらの作例が見事なので、いつの間にか初心者の間でも、

「サーフェイサーは塗装する前に必ずやったほうがいいもの」

「サーフェイサーを吹くことで完成度が上がる」

と勘違いされているのが現在です。

でも、実はプロモデラーや上級者に質問すると、ほぼ全員が、

「初心者がサーフェイサーをする必要はない」

「かえってプラモをダメにしているかも」

と答えると思います。

「いや、だって、上手い人みんなやってるじゃん!」

と反論したくなるかもしれません。

結論を先に言うなら、

サーフェイサーはメリット・デメリットを両方理解して、必要と判断した時にだけ使うべき

です。

以下に説明していきますので、無意識にサフを吹いている人は、読んで一度考えてみてはいかがでしょうか?

サーフェイサーを使うメリット

まずは「なぜサーフェイサーを吹くのか」を理解するために、メリットを見てみましょう。

塗装面の色と状態を統一できる

プラと金属。ツルツルとザラザラ。下地の色違い

パーツの表面の、色や材質がバラバラのときに、サーフェイサーを吹くことで統一させることが出来ます。

上の写真は艦船模型でエッチングパーツを付けてあるものですが、例えばこれにいきなり塗装した場合、金属とプラでは塗料の塗り映えが変わってしまいます。

「ここは金属だな?ここはプラか」

とわかるのではだめですよね。(本物の船の材質が違うわけじゃないので)

同じことが、「パテとプラパーツによる違い」「プラの成形色が違う事による違い」にも言えます。

そこでサーフェイサーを吹くことで、全体の質感を均一に統一できるのです。

これは素晴らしいメリットです。

パテとか金属が混ざってますが

サフで統一

パーツの透け防止

プラパーツは基本スケスケです

サーフェイサーは塗装よりも分厚い塗膜が着くので、プラパーツの光の透過率が下がります。

つまりスケスケのものが、スケスケじゃなくなるってことです。

透けると何が悪いのかというと、プラモで作っている本物のなにか(例えばガンダム)は、金属で出来ているからです。

金属はどれだけ薄くしようとも、絶対に光は透けません。

ガンダムは光が透けますか?透けませんよね。

ということは、

「透ける=金属じゃない=いかにもプラモデル

ということになります。

「黒サフの魔力」プラを金属に見せるコツは光の透過率にあり
プラを金属に見せる方法はいくつかありますが、一番基本になるのが光の透過率を知ることです。プラと金属の光に対する特性の違いを理解すると、黒サフや塗装方法などの意味やコツがわかってきますよ。下手な作例ですがわかりやすいから観てね。

隠蔽力の弱い塗料を使えるように

隠蔽力の弱い色(白・黄色など)を塗装したい時に、プラの成型色が黒だと、なかなか上手に塗れません。

下地の色が白だと逆で、簡単に塗りやすいです。

ガンダムのプラモデルを作るとき、プラの成型色が白だったらいいですが、黒だったら大変だと思います。黒の上にキレイに白を塗るのはとても苦労させられるでしょう。

そんなときは白っぽいサーフェイサーを吹くと、下地が白になるので塗装しやすくなるんですね。つまり、黒いプラを白いプラに自分で変えてしまうようなものです。

サーフェイサーは下地の色を、塗装に適した色に変えることが出来ます。

塗料の食いつきをよくする

プラパーツは基本的にツルツルですので、塗料をはじいたり、塗膜が弱かったり(食いつきが悪いという)します。

サーフェイサーは薄いパテを塗るようなものですから、表面がザラザラになります。

ザラザラになると塗料の食いつきがよくなりますので、塗装が剥がれにくく丈夫になります。

サーフェイサーの上からする塗装は強いのです。

表面の傷・合わせ目を発見

表面処理のミス

合わせ目消し忘れ

サーフェイサーを吹くことで1色に染まると、それまで見えなかった傷や合わせ目を発見することが出来るようになります。

そのまま塗装して後で発見すると、また塗装をやり直しという羽目になります。

事前にサーフェイサーの段階で発見できれば、そこで修正してしまうことができますよね。

おらプラ
おらプラ

ごく細かなヤスリ跡などは、消してくれる場合もあります。が、消すことに期待しすぎてはいけないですね。あくまでも発見出来るという働きに期待です。

サフ萌えを味わえる

サフ萌え・・・サフはカッコいいのだ

これはメリットと言えるかわかりませんが、サーフェイサーで全体が1色になると、プラモがとてもカッコよく見えます。

モデラーの間では「サフもえ」と呼ばれます。ときには、

「塗装した後より、サフの時が一番カッコよかった」

と感じてしまうこともあります。(しょっちゅう?)

もしかすると、サフ萌えの状態を見たいためだけに、サーフェイサーする人がいるかもしれませんね(笑)

形状がわかりやすいからカッコよく見えるのかな?

サーフェイサーを使うデメリット

サーフェイサーはメリットも多いですが、もちろんデメリットがあるからこうして今回書いています。サーフェイサーはデメリットが大きいのです。

スプレー自体を失敗

サーフェイサーは缶スプレーかエアブラシで吹きますが、初心者はスプレーすること自体を失敗するリスクがあります。

サーフェイサーはパテのようなものと書きましたが、サーフェイサーは塗料より厚ぼったくなりますので、失敗すると大変です。

モールドが埋まってしまう

サフ最大のデメリットがこれ

サーフェイサーで最大のデメリットがこれです。

サーフェイサーは細かな傷を埋めてくれる(パテなので)効果もありますが、傷を埋めるということは、つまりパーツ表面のモールドを埋めてしまい、甘くしてしまうのです。

ビシッと立ったエッジが丸まり、深くてはっきりとしたモールドが浅く曖昧なモールドに、つまり、キットの出来を1段も2段も劣化させてしまうのです。

ガンプラで言えば、

「超絶ディテールのRGを買ったのに、HG以下や旧キットにしてしまう」

「神キットと名高いのに、それを台無しにしてしまう」

ようなものでしょう。

他のデメリットを論ずる以前に、この1点だけで十分なほどです。

上級者が初心者に「サーフェイサーするな」とアドバイスするのは、まさにこのデメリットがあまりにも大きいからなんです。

筆塗りで溶かしてしまう

サーフェイサーはパテのようなものですから、ラッカー系の塗料で筆塗りをする場合、サフを溶かしてしまいグチャグチャになる恐れがあります。

エアブラシや水性塗料では心配ありません。

サーフェイサーの目的を違う方法で

ただ、上級者はただ反対しているわけではありません。

「サーフェイサーのメリットが欲しければ、ちゃんと他のことで補えるんだよ?」

「だから、サーフェイサーはムリに使わなくていいんじゃない?」

そうです。サーフェイサーのメリットとして上げたものは、実は他の手段でちゃんと代替出来るから、

「サーフェイサーの大き過ぎるデメリット、わざわざ受ける必要ないじゃない」

と言いたいのです。

透け防止は?

パーツの裏に塗装する

透け防止に関しては、パーツの裏側(内側)に黒やグレーなどを塗装することで、防ぐことが出来ます。

これならパーツの表面に悪影響もないし、効果も抜群です。

裏も表も塗る手もあるよ

これサフじゃなく塗装です

筆塗りでもいいしスプレーでもいいです。

どうせ見えないところなので、ムラなんて気にしなくていいですから、初心者も安心でしょう?

表側に下地として塗る場合でも、サーフェイサーと違って塗料ならモールドも生きたままですみます。サフ萌え的な見え方もしますしね(笑)

隠蔽力の弱い色は?

実験

隠蔽力の弱い色を塗る時の対策としては、サフじゃなくやはり下地塗装を挟む方法があります。

例えば黄色を塗りたい時に、一度白色を下地として塗装したりします。

あと、最近は隠蔽力の激強な塗料も増えてきていますので、それを利用するのも方法です。

筆塗りでもすごい隠蔽力!「最強の黄色」と出会った
プラモデル塗装で一番隠蔽力が弱くて塗りにくいのが「黄色」。とくに筆塗りでは難しくて、なかなかキレイに出来ませんよね。そこで「噂の黄色」を使ってみて驚きました。シタデルのベースから、アヴァーランドサンセット、恐ろしい隠蔽力でしたので見てください。

食いつきをよくするには?

塗料の食いつきをよくするには、パーツの表面をサッとヤスリがけして、荒らす方法がよく使われます。(足付けといいます)

ツルツルだから弾いたり着かなかったりするわけで、細かいヤスリで傷を付けるというのは効果的です。むしろ昔はサフなんてなかったので、昔のガイド本には「ヤスリで足付けしよう」書いてあったのを覚えています。

【プラモデル基礎用語】足付け「適した番手は?」
足付けとは? 足付けとは、塗装する面をわざと荒らすことで塗料の食いつきをよくし、塗膜を強くすることです。 プラモデルに限らず、塗装に関する共通用語です。 決してジオングに脚をつける改造のことを言うわけじゃないですからね(笑) ...

本当に必要だと思えば

サフはよく考えて

サーフェイサーは、メリットがあるのはもちろんですが、同じようにデメリットも大きく、取捨選択が難しい作業です。

サーフェイサーが悪いものだというわけではありません。デメリットしかないなら上級者が使うわけがないですよね。

ただ、上級者はデメリットも理解した上で、それを乗り越えるテクがあり、そのうえでメリットを活かしたくてサーフェイサーをします。

対して初心者は、メリットもデメリットもなんとなく知ってはいるけど、なんとなくサーフェイサーをしている場合が多いのではないでしょうか。

おらプラ
おらプラ

私もデメリットを克服できているか怪しいのに、なんとなく使っちゃってますしね(苦笑)さすがに毎回は使わなくなりました。

決めるのは自分自身ですが、上級者のみなさんが口酸っぱく「サーフェイサーを使うな」と言うわけを、一度考えてみてはいかがでしょうか。

デメリットを理解した上で、「それでもやってみたい」「やったほうが良さそう」「やらなきゃいつまでもダメなままだし」」と前に進むのもありでしょう。

「なんとなく」だけはやめたほうがいいですよ。

サーフェイサーを選ぶための一覧表【プライマー成分有無、色、番手】
プラモデル製作に使うサーフェイサーは各メーカーから発売されています。それらを番手、色、プライマー成分の有無、ラッカーに耐えるかどうかなど、特徴がわかるように一覧表にしてみました。あなたの用途に合うサーフェイサーを探してください。