こんにちは、おらプラです。
プラモデルを趣味にしていても、ちょっと手を出すのに勇気がいる、それがレジンキットではないでしょうか。
「よくわからないけど、難しくて、コツが必要で、上級者しか手を出してはいけない世界」
私はそう感じていましたが、みなさんはどうですか?
私も今では一応レジンキット経験者になったわけですが、最初に作る時の不安とか疑問とかすごかったです。
今回は、
- これから初めてレジンキットを作ろうとしている人
- 作ってみたいけど迷っている人
向けに、初心者が最初絶対に「驚き、戸惑い、そして感動する」ポイントをまとめてみました。
進むも退くもあなた次第。
でも、「イメージではなくて現実を知って決めてほしいな」と、少し先輩面して経験を書かせてもらいます。
レジンキットを初めてつくる人へ
これから初めてレジンキットを買いたい・作りたいという人に、もし私が身近でアドバイスするなら、
「欲しいなら絶対作ったほうがいいよ!」
ということです。
これから書いていくポイントのほとんどはネガティブで、読んでいるとマイナスイメージが先行するかもしれません。
でも、その先にある異次元のカッコよさ・満足感は、それらを全部帳消しにするくらいドデカイのです。
覚悟せよ、そしてそれ以上に期待せよ
簡単とは言いません。ウソになっちゃいます。
でも、「プラモデルより格段に難しいかといえばそうでもない」のも事実。
プラモデルを合わせ目消して全塗装するレベルの人なら、間違いなくちゃんと作れます。
「むしろ作業が少なく、時間もかからないからラク」
と感じるかもしれません。
「覚悟せよ、そしてそれ以上に期待せよ」
次から上げていくポイントを読んで、考えてみてください!
ガレージキット≠レジンキット
最初に基礎知識としてですが、ガレージキットとレジンキットは同じ意味ではありません。
ガレージキット(通称ガレキ)は、マニアが家のガレージで生み出したという意味で、少数生産のキット全体を指します。
その中で素材別に分けられ、ソフトビニール製キット(ソフビ)やレジン製キット(レジンキット)があります。
今回ここで取り上げるのはレジンキットですので、ソフビについて知りたい場合は適しませんので参考にしないでください。
値段が高い
レジンキット(ガレキ全般に共通)は、少数生産のために値段が高いです。
比較的小さなフィギュアでも1万円を下回ることはほとんどなく、3万円~5万円ぐらいは当たり前と言えるでしょう。
しかもそれは定価で、数が少ないほどプレミア価格になるのはどの世界も一緒です。
手に入りにくい
レジンキットはプラモ屋さんの店頭に置いてあることは、まずありません。
新発売または再販のタイミングというのがあって、そこで通販を中心に受付販売されます。
しかも少数に、大量の希望者が群がります。
そのため、たいていすぐに売り切れたり、抽選販売になってたりします。
「このキット作りたいな」
と思っても、在庫があるのは奇跡に近く、
まずは販売情報に耳をかたむけて、争奪戦を勝ち抜く必要がある
のです。
「レジンキットを作れるのは、なんとかして入手した者だけ」という厳しい世界なのですよ(泣)
偽物がある
「どうしても作りたいし、プレ値でもいいから買っちゃおうかな?」
と思うかもしれませんが、気をつけてください。
それが本物であるとは限らないのです。
プレ値が付くものには、転売ヤーや偽造業者がいるのが世の常。
ガンプラなどは転売されて高額になるだけで、お金さえ出せばいちおう本物が入手できますよね。
でも、レジンキットは高額なお金を出しても、それが偽物かもしれないから厄介です。
- 安いから・高いから
- オークションだから
- 中古屋だから(お店自体がだまされている可能性)
というだけでは断言できないんですよ。
どれがシロかクロか、勘と推理がたより?って怖いですよね。刑事じゃないんだから。
そのため、どんなに入手困難でも、信頼できる相手(製造メーカー直販)から買うようにしなければいけない世知辛い世界です。(あ、冒険するのは自由です)
パーツが足りないこともある
レジンキットは少量生産で手作業で製造されています。
しっかり管理された工業製品じゃないのです。
そのため、パーツの「入れ忘れ」や「入れ間違い」がかなりの頻度であります。
正確にはわかりませんが、私自身今のところ3キット中1キット経験してるので、かなりの確率かと思います。
メーカーの説明書には、
「まずは全パーツが正しく揃っているか確認してください。不足があればすぐに連絡してください」
とわざわざ注意書きがあります。
揃っていなくても怒ってはいけません。
「それくらいのミスはあるもの・当たり前」というのが、昔から当たり前だそうです。
パーツの変形は自分で直す
レジンキットは熱に弱く、製造時に予熱で変形している場合があります。
これもレジンキットの世界では「仕方がないこと」とされ、自分で直すのが常識となっています。
「変形を直すって難しそう」
と思うかもしれませんが、実は簡単にできます。
お湯で温めて変形を直す事ができるのです。
一度洗浄しなければならない
レジンキットは離型剤という油成分が付着していることが多く、かならずパーツ洗浄をやらなくちゃいけません。
やらなくても組み上げられますが、塗装の時にうまくいかなくて「やり直し~」となるのが目に見えているので、絶対に行うべきなんですよね。
特別難しいものでもないし、身近にあるもので出来ますので、やり方読めば誰でも出来ます。
パーツ番号がない
レジンキットにはパーツ番号が(ほぼ)ありません。
ついているものでも、読めなかったり不明瞭なものもありますので、まあ、ないと思っていたほうが無難です。
パーツ番号がないので、上で書いたパーツチェックは説明書の絵や写真を見ながら探すことになります。
また、組み立て指示も絵で説明してあるだけですが、プラモよりパーツ構成はシンプルなので、それで十分理解できます。心配は無用です。
ランナーがないことも多い
レジンキットのパーツは、ランナーでつながっているものと、パーツだけバラバラに入っているものと、2パターンあります。
ランナーがあるものでも、普通のプラモキットのランナーとは似ても似つかない別物で、まるでサクランボのようになっているんですよ。
せいぜい5、6個のパーツで1ランナーとなっています。(製造時には1つの円を描いている)
ランナーに記号がない
ランナーがあるものでも、ランナーに記号はありません。
プラモだとAランナーとかBランナーとか刻印してあって、ランナー記号とパーツ番号でパーツを見分けるじゃないですか。パーツ番号がないというところでも書きましたが、これも最初は戸惑いますが、組み立てにはまったく支障がありません。
ゲートが太い
レジンキットのゲートは、めちゃくちゃ太いです。
どんどんゲートが細くなって組み立てやすくなっているプラモ業界ですが、レジンキットは太いままです。
プラモキットは高圧でプラが注入されるのでゲートが細くてもいいのですが、レジンキットは低圧で注入され、せいぜい遠心力を利用する程度なので、ゲートが細いと材料が流れ込んでいかないのです。
これはたぶん、永遠に解決されないと思います。
パーツを切り出す時に、太いゲートをいかにキレイに処理してパーツを整えるか、そこがレジンキットの大変なところと言えるでしょう。
軸打ちが必要
プラモは中が空洞で関節構造でつながって成り立っていますが、レジンキットはレジンの塊で関節がありません。
なのでパーツ同士をダボで直接接着する(表現が難しい)ようになっています。
ただ、レジンキット自体が重く、ダボと接着では十分な強度がないために、レジンキットでは「軸打ち」といって、金属線を仕込むのが一般的です。
軸打ちをすることで強度が上がりますし、万が一の転倒でも破損しにくくなりますから、レジンキットを作る場合は必須と考えていいでしょう。
プラ用接着剤使えません
いつも使っているプラモ用接着剤は、レジンキットには使えません。
レジンを溶かすことができないからです。
エポキシ系の接着剤などを別途準備して使うことになります。
プラ用サーフェイサー使えません
同じくプラ用サーフェイサーも使えません。
プラモ用として売られているものでも、プライマー成分を含んでいるものは、ちゃんとレジンにも使えることが明記されています。
レジンキット専用のサーフェイサーがありますので、それを使うのが無難でしょう。
ちなみにプラモではサーフェイサーは必須とは思いませんが、レジンキットではパーツ表面の状態をチェックするために使うことが多いです。
逆にレジンキット用サーフェイサーをプラにかけると、プラが溶けてしまうそうです。
瞬着は使えます
プラモデルで使う接着剤のうち、瞬間接着剤はレジンキットにも使えます。
合わせ目はないがパーティングラインはある
プラモデルはパーツ同士を接着して形作っていきますが、レジンキットは最初から1パーツにまとまっているようなものです。
そのためレジンキットには、接着で出来る合わせ目というものがなくて、面倒な合わせ目消しという作業が必要ありません。
ただ、(プラモでも同じですが)パーツ成形時に出来るパーティングラインはあります。
ディテールの見事なレジンキットですから、パーティングラインが残っていると余計みっともないので、しっかりと消しましょう。
組み立ては実はシンプルです
レジンキットはプラモのように可動部分がないので、完全に見た目重視です。
そのため、関節構造もなく、作り方もシンプルです。
レジンの塊をただくっつけていくだけ。
上の写真はクリアレジンの部分があるのでわかりやすいでしょ?
パーツ数もとても少ないです。
昔より断然作りやすいです
昔、レジンキットは気泡が入りやすかったり、パーツの合いが悪かったりしたそうです。
しかし今はレジンの製造方法も改良されて、気泡も少なくパーツの精度も上がっています。
軸打ちに関してもガイド穴がちゃんと見えるようになっていたり、初めてでも困りません。
自分でパーツを修正するなんてことは、今は少ないようです。
組み立て時間は短いです
レジンキットの組み立ては、時間が短いです。
組み上げるだけなら、ガンプラのHGよりも速いかも。
ただ、レジンキットをつくる人は、表面処理などを手抜くことはしないので、目指す完成度によって大きく所要時間は変わるのです。
個人的には、プラモを全塗装で作る場合と、あまり変わらないような気がしています。
ポージング固定
レジンキットは固定ポーズです。
プラモデルはポージングが自由に決められて、様々なポーズを楽しむことが出来ますが、逆に言えば、作例のようなポーズを取らせるのはコツがいりますし、けっこう難しいじゃないですか。
レジンキットは関節がなく、自由にポーズを決めることが出来ない反面、作例と全く同じカンペキな立ち姿・ポージングが手に入ります。
頭、腕、脚、すべての角度がビシッと決まるんです。
飾ることを考えたら、これはすごいメリットです。
「ブンドド」には最悪ですね(笑)
超絶ディテール
少し専門的な話になりますが、プラモは金型の関係上、すべての方向に精密なディテールを施すことが難しいです。
そこで各メーカーは工夫を凝らしたパーツ分割をして、なるべく理想の形状に近づけようと頑張ります。そのおかげで私たちは、かっこいいプラモが手に入るわけです。
でも、それには限界があるのも事実で、どれだけ近づいても、絶対にカンペキにはならないんです。
プラモのもとになる原型を100%とすると、プラモキットにするときに、必ず劣化してしまいます。
プラモの構造上仕方がないことで、原型の再現とキット化の妥協点を探した結果が製品版になっています。
しかし!レジンキットは違うんですよ。
左右分割の金型(+スライドコア)とは違って、全方向のディテールをすべて再現することが出来ます。
レジンキットは製造上どこも劣化(妥協)させる必要はなくて、100%再現を目指せるのです。
その結果、エッジの鋭さとか彫り込みの深さなど、手に取ると、
「おおっ、これは違うな」
と感じると思います。
原型のコピーが手に入ります
上で書いたことを言い方を変えて書くと・・・。
プラモは原型そのものを手に入れることは、絶対にできません。劣化コピーが精一杯。
その劣化が少ないものが「神キット」と呼ばれたりするわけです。
レジンキットは、原型の完全コピーです。
「プロの原型師が作った形そのものをコピーして、手元に置いておける」
これってすごいことだと思うんです。
塗装は別ですがね(笑)
レジンキット作っちゃう?
レジンキット、大変なこと、面倒なこと、いろいろあるでしょう?
しかも、高いし、手に入らないし。
それでも、レジンキットを作る人は、そんなマイナス面を全部足したより大きな、たった1つのプラス面に魅力を感じて、レジンキットを選ぶわけです。
「どんな苦労をしても、原型のコピーを手に入れたい」
「かっこいいものが手に入るなら、そんなもの屁でもない」
今ここを読んでいる人は、これからレジンキットを作ってみたい・買ってみたいと考えている人だと思います。
多少なりともレジンキットの魅力とか、プラモとの違いを知ってしまったうえで、
「自分でも作れるのだろうか?」
と迷っている人だと思うんですよね。
違いに気づいてしまったあなたは、作るしかないでしょう。
大丈夫ですよ、思っているよりちゃんと作れるものです。
がんばってください。